
灌仏会:釈尊の生誕を祝う
灌仏会とは、お釈迦様の誕生日をお祝いする仏教の大切な行事です。お釈迦様は仏教という教えを説いた方で、この教えは私たちの生き方に大切な指針を与えてくれます。日本では、お釈迦様の誕生日は4月8日とされています。この日に、全国各地のお寺では、『花まつり』という呼び名で親しまれている灌仏会が行われます。お寺には、色とりどりの花で美しく飾られた小さなお堂が建てられます。このお堂は『花御堂』と呼ばれ、まるで小さなお宮殿のようです。花御堂の中には、生まれたばかりのお釈迦様の像が安置されています。この像は、右手を空高く掲げ、左手を地面に向けているのが特徴です。これは『天上天下唯我独尊』という言葉を表した姿だと言われています。この言葉は、お釈迦様が生まれた時に、この世で自分が一番尊い存在であると宣言した言葉だと伝えられています。しかし、この言葉は、「私という存在はかけがえのないものであり、誰もが尊い存在である」という意味も込められていると解釈されています。灌仏会では、参拝者は甘茶と呼ばれる甘いお茶を誕生仏にかけます。これは、お釈迦様が生まれた時に、天から九頭の竜が現れて甘露の雨を降らせたという言い伝えに由来しています。甘茶をかけることで、お釈迦様の誕生を祝うとともに、自らの心に清らかさを呼び覚ますという意味が込められています。灌仏会は、春の訪れを告げる行事として、古くから人々に親しまれてきました。お寺に咲く色とりどりの花々と、甘茶の甘い香りは、春の喜びをより一層感じさせてくれます。この行事は、仏教徒にとってはお釈迦様の教えに感謝し、その偉大な功績をたたえる大切な機会となっています。また、仏教徒でなくても、春の行事として、家族や友人と共にお寺を訪れ、花御堂の美しい景色を楽しむことができます。