
報恩講:親鸞聖人に感謝を捧げる法要
報恩講とは、浄土真宗を開かれた親鸞聖人のご命日をしのび、その教えに感謝する大切な法要です。親鸞聖人は旧暦の11月28日に亡くなられましたが、現在では、宗派によって日にちが異なり、それぞれのお寺で数日間にわたって営まれます。たとえば、大谷派では11月22日から28日、本願寺派と高田派では1月9日から16日に報恩講が行われます。
この期間、お寺では朝夕のお勤めに加えて、特別な読経が行われます。また、僧侶による法話も設けられ、親鸞聖人の生涯や教えについて深く学ぶことができます。特に、親鸞聖人が書き残された主著『教行信証』の教えは、浄土真宗の教えの根幹をなすものとして大切にされています。報恩講では、この書物から重要な箇所が読み上げられ、解説されることもあります。
参詣者は、読経や法話に耳を傾けながら、親鸞聖人の教えに思いを馳せ、自らの人生を振り返る機会とします。また、報恩講は、仏教徒のコミュニティにとって大切な行事でもあります。普段は顔を合わせることの少ない人々が集まり、共に親鸞聖人を偲び、教えを学ぶことで、地域社会の結びつきを強める役割も果たしています。
報恩講は、単なる法要ではありません。親鸞聖人の教えに触れることを通して、自分の生き方を見つめ直し、感謝の気持ち、そして周りの人々への慈しみの心を育む、貴重な時間と言えるでしょう。日々忙しく過ごす中で、報恩講は、心を落ち着け、本当に大切なものを見つめ直す機会を与えてくれます。