
後飾り:故人を偲ぶ大切な場所
後飾りとは、葬儀を終え、火葬された後、遺骨を正式に納骨するまでの間、故人の霊を自宅で慰め、偲ぶための大切な場所です。まるで故人がまだ家にいるかのように、生前と変わらぬ雰囲気の中で、ゆっくりと別れを惜しむことができます。
後飾りの中心となるのは、白木の祭壇です。この祭壇には、火葬された後の遺骨を納めた骨壺が安置されます。骨壺は白い布で覆い、その上に三具足と呼ばれる香炉、燭台、花立を置きます。毎日、朝晩お線香をあげ、故人の霊前に静かに手を合わせます。また、故人の霊が宿るとされる位牌も、この祭壇に安置します。位牌は、葬儀、告別式の後も大切に扱われ、四十九日の法要の後、仏壇に納められます。
後飾りの設置場所は、静かで落ち着いた、かつ故人の好きだった場所に近い部屋が良いでしょう。例えば、故人がよく過ごしていた居間や、日当たりの良い部屋などが選ばれます。また、祭壇の向きにも気を配り、東向きか南向きに設置するのが一般的です。そして、故人の好きだったもの、例えば写真や趣味のもの、愛用していた茶碗などを一緒に飾ることで、より故人を身近に感じることができます。
後飾りは、ただ遺骨を安置する場所ではなく、遺族が故人とゆっくりと向き合い、別れを告げるための大切な場所です。非日常である葬儀場から、我が家という日常の空間に戻り、故人の存在を身近に感じることで、深い悲しみを乗り越え、少しずつ現実を受け入れていくことができるのです。また、家族や親族が集まり、故人の思い出を語り合うことで、後飾りは、故人の冥福を祈ると共に、遺族の心の支えとなる大切な役割を担っていると言えるでしょう。