簡略化

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葬儀

簡素化される葬儀と香典返し

香典返しとは、葬儀に参列していただいた方々へ、弔いの気持ちと供養への感謝を込めて贈る返礼品のことを指します。その起源は、古くは香典がお香や線香といったお供え物であった時代にまで遡ります。当時、葬儀に参列する人々は、故人の霊を弔うためにお香や線香を持参していました。これらの品々は、故人の冥福を祈る気持ちの表れでした。 やがて、お香や線香に代わり、金品を包んで贈る習慣が根付いていきました。この金品を「香典」と呼ぶようになり、現在でも香典袋には「お香典」と記されています。香典を受け取った遺族は、いただいた香典へのお礼と、故人の霊を弔っていただいたことへの感謝の気持ちを込めて、返礼品を贈るようになりました。これが香典返しの始まりです。 古くは、香典返しは四十九日の忌明け後に贈るのが一般的でした。四十九日とは、仏教において故人の霊が成仏するとされる期間です。そのため、四十九日の法要を終え、故人の霊が成仏したことを報告すると共に、改めて感謝の気持ちを伝えるという意味合いがありました。 しかし、近年では葬儀の簡素化が進み、葬儀当日に香典返しをする「当日返し」が主流になりつつあります。これは、葬儀の負担を軽減すると共に、参列者にとっても持ち帰る荷物が少なくなるという利点があります。当日返しの品物は、お茶やお菓子、海苔など、日持ちするものが選ばれることが多いようです。このように、時代の変化と共に香典返しの習慣も変化していますが、弔いの気持ちと感謝の気持ちを表すという本質的な意味は今も昔も変わりません。