
終油の秘跡:カトリックの臨終儀式
カトリック教会には、人生の最期を神と共に迎えるための大切な儀式、『終油の秘跡』があります。かつては、まさに死の床にある人にだけ行われていましたが、今では病状が重い人であれば誰でも受けることができます。そのため、『病人塗油の秘跡』とも呼ばれています。
この秘跡の目的は、病に苦しむ人の心身を癒し、神の恵みを与えることで、魂の救いへと導くことです。神父は病人の額と両手に聖なる油を塗り、祈りを捧げます。額と両手に塗られる聖なる油は、神からの癒しの力が伝わることを示す、大切な意味を持っています。まるで神の手が優しく触れ、痛みや苦しみから解放してくれるかのようです。
終油の秘跡は、単なる儀式ではなく、共同体全体で病人を支え、共に祈る機会でもあります。病人は、家族や友人、そして教会の仲間たちが自分のために祈ってくれていることを感じ、大きな心の安らぎを得ることができるでしょう。それは、まるで温かい毛布に包まれるような、安心感に満たされるひとときです。
現代社会は、医療技術が進歩した一方で、病と闘う人々の孤独や不安も増しています。終油の秘跡は、そのような現代社会において、人々に寄り添い、希望の光を灯す大切な役割を担っていると言えるでしょう。神と人、そして人と人が繋がり、共に祈ることで、人はどんな困難も乗り越える力を得ることができると信じられています。