
特別受益者と相続の基礎知識
特別受益者とは、亡くなった方から生前に特別な贈り物を受け取った人のことです。この贈り物は、他の相続人と比べて明らかに高額であったり、特別な意味を持つものでなければなりません。そして、遺産相続の際に、この生前に受け取った贈り物が考慮されます。
簡単に言うと、すでに故人から大きな財産をもらっている人が、さらに遺産分割でも多くの財産を受け取るというのは不公平ですよね。そのため、特別受益者という制度は、相続人全員の間で遺産を公平に分けるために作られました。
具体的にどのような贈り物が特別受益とみなされるか、例を挙げてみましょう。例えば、家を買うためのお金の援助や、高い教育を受けるためのお金の提供などが考えられます。他にも、事業を始めるための大額の資金援助なども含まれるでしょう。
特別受益とみなされるかどうかは、贈与の金額や目的、他の相続人の状況などを総合的に見て判断されます。例えば、兄弟姉妹のひとりが生前に親から家の頭金として数百万円の援助を受けていた場合、他の兄弟姉妹は不公平だと感じるかもしれません。このような場合、すでに援助を受けた人は特別受益者とみなされ、遺産分割の際にその金額が考慮されます。
つまり、特別受益者は、遺産分割の前に、すでに受け取った贈与の分を差し引いて計算されるのです。これにより、他の相続人とのバランスを取り、より公平な遺産分割が可能になります。
ただし、故人が特別な贈与を「特別受益」とみなさないという意思表示をしていた場合は、特別受益とはみなされません。これは遺言書などで明示的に記しておく必要があります。
特別受益という制度は、相続人間でのトラブルを避けるための重要な仕組みです。もし、相続に関して不安なことがある場合は、専門家へ相談することをお勧めします。