
施餓鬼供養:故人への思いを繋ぐ
施餓鬼とは、仏教で行われる法要のひとつで、餓鬼道に落ちた霊を供養するために行います。
餓鬼道とは、六道輪廻と呼ばれる六つの世界の一つで、生前に貪欲な行いをした者が死後におちる世界とされています。この世界では、常に飢えと渇きに苦しみ、満足に飲食することができないとされています。施餓鬼は、そのような苦しむ霊たちに飲食を施すことで、その苦しみを和らげ、成仏を願うための儀式です。「お施餓鬼」や「施餓鬼会」とも呼ばれます。
施餓鬼の由来は、お釈迦様の弟子の阿難尊者が、燃える口を持つ恐ろしい餓鬼に遭遇したというお話に由来します。その餓鬼は阿難尊者に、三日後に寿命が尽きると告げました。阿難尊者は驚き、お釈迦様に助けを求めました。お釈迦様は、多くの餓鬼たちに飲食を施すことで、寿命を延ばすことができると教え、施餓鬼の作法を伝えました。阿難尊者はその教えに従い、施餓鬼を行い、難を逃れたと言われています。
日本では、お盆の時期に施餓鬼法要を行うことが多く、故人や先祖の霊だけでなく、無縁仏も含めたすべての餓鬼に飲食を施し、供養する意味合いが込められています。また、施餓鬼は自分自身の貪欲さを反省する機会にもなるとされています。お寺では、読経を行い、僧侶が餓鬼に象徴的な飲食を施す儀式が行われます。一般の人も、お寺に参拝し、施餓鬼に参加することで、先祖供養や自身の心の浄化を図ることができます。