喉仏

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葬送

喉仏:火葬後の大切な意味

喉仏は、医学の言葉で言うと甲状軟骨という軟骨の一部です。のどぼとけ、という言葉の方がなじみ深い方も多いかもしれません。この軟骨は、首の前にあります。特に男性は女性より大きく、外から見てもよく分かります。その形が仏様の座像に似ていることから、喉仏と呼ばれるようになりました。 火葬後の骨上げの儀式では、この喉仏を最後に拾い上げます。これは、昔から伝わる大切な習慣です。日本では、人が亡くなると仏になるという考え方が古くからありました。喉仏はその仏を象徴するものとして、大切にされてきたのです。火葬によって体は灰になっても、魂は仏となって天に昇ると信じられてきました。喉仏は、まさに魂が仏になった証として、遺族にとって特別な意味を持つのです。 骨上げの際に喉仏を拾うのは、故人の魂を大切に扱うという意味が込められています。喉仏は小さな骨ですが、故人の存在を象徴する大切な骨です。この小さな骨を拾い上げることで、故人の魂を敬い、あの世へ送り出すという気持ちが込められています。また、喉仏を最後に拾うことで、故人が無事に成仏したことを確認するという意味合いもあると言われています。 喉仏は、単なる骨ではなく、故人の魂や存在の象徴であり、遺族にとっては深い意味を持つものなのです。そのため、火葬後の骨上げという儀式において、喉仏は他の骨とは異なる特別な扱いを受けているのです。この習慣は、日本人の死生観を理解する上で重要な意味を持っています。