
霊号:故人の新たな名前
神道では、人が亡くなると、この世で使っていた名前を捨て、あの世で使う新しい名前として霊号を授かります。これは仏教の戒名と同じようなものです。神道の考え方では、人は亡くなると霊魂となり、あの世へと旅立ちます。その際に、この世の名前を捨てることで、現世との縁を完全に断ち切り、霊魂として生まれ変わるという意味が込められています。
霊号は、単なる死後の名前というだけでなく、故人の霊的な成長と、あの世での安らかな暮らしを願う気持ちが込められています。神職が、故人の生前の行いや人となり、そして遺族の願いを考慮して、ふさわしい霊号を授けます。霊号には、故人の魂を神様に近づけるという意味もあり、神様の世界で尊ばれる存在となるようにとの願いも込められています。
遺族にとっては、霊号は故人を偲び、その魂を大切に思うための拠り所となります。霊号を呼ぶことで、故人の存在を身近に感じ、共に過ごした日々を思い出し、語りかけることができます。また、霊号は、子孫が故人の霊を敬い、その魂を大切に受け継いでいくための大切な証でもあります。墓石に霊号を刻むことで、故人の存在を後世に伝え、その魂が永遠に生き続けることを願うのです。
このように、霊号は故人と遺族にとって、深い意味を持つ大切なものです。それは、単なる死後の名前ではなく、故人の魂を尊び、その安らかな旅立ちと永遠の命を願う、神道ならではの大切な儀式と言えるでしょう。