参り墓

記事数:(1)

墓石

参り墓:お墓参りの新たな形

「参り墓」とは、遺骨を埋葬した場所とは別の、お参りしやすい場所に建てられたお墓のことです。文字通り、お参りをしやすくするために作られたお墓と言えるでしょう。 従来のお墓は、遺骨を埋葬した場所にお墓を建てるのが一般的でした。しかし、その埋葬場所が遠方にあったり、山の中などアクセスが困難な場所にある場合、お参りに行くのが容易ではありません。高齢の方や体の不自由な方にとって、お墓参りは大きな負担となることも少なくありませんでした。そこで、もっと身近な場所に、お参り専用の場所として「参り墓」を建てるという考え方が生まれました。 参り墓という考え方が広まった背景には、浄土宗や浄土真宗といった宗派の影響もあると言われています。かつては、遺体を火葬にせず土葬するのが一般的でした。土葬の場合、衛生上の問題などから、お墓は街から離れた場所に建てられることが多く、気軽にお参りができない状態でした。このような状況の中、より簡単にお参りできるようにと、参り墓の考え方が受け入れられていったのです。 現代社会は、人々の生活様式が大きく変化し、都市部への人口集中が進んでいます。地方に住んでいた人が都市部へ移り住むケースも増え、先祖代々のお墓が遠方にあるという人も少なくありません。そのような人々にとって、参り墓は、故人を偲び、供養する機会をより多く持つことができる、大変ありがたい存在と言えるでしょう。現代の生活様式にも合致したお墓のあり方として、近年、参り墓は改めて注目を集めています。