
お墓と猫足:知っておくべきこと
お墓の土台部分、竿石を支える四角い石の四隅が、猫の脚のように内側にカーブしているものを猫足と呼びます。西洋式の浴槽などで見られる猫足とは曲がる方向が反対で、内側に向かって優雅な曲線を描いているのが特徴です。この内側に湾曲した猫足は、お墓のデザインに独特の趣を与えます。
かつて一世を風靡した猫足は、現在でも多くの墓石で見ることができます。流行した時代のお墓には特に多く、そのおしゃれな見た目から、最近建てられたお墓にも採用されることがあります。猫足は、お墓全体に柔らかで優しい印象を与え、故人の個性を表現する手段の一つとして選ばれてきました。
この猫足は、単に見た目が美しいだけでなく、機能面でも利点があります。四隅が内側にカーブしているため、土台の面積が広く安定感が増し、地震などによる倒壊のリスクを軽減する効果が期待できます。また、雨水が流れやすく、土台の劣化を防ぐことにも繋がります。
しかし、猫足には注意点もあります。その複雑な形状ゆえに、掃除がしにくいという欠点があります。猫足の曲線部分に汚れが溜まりやすく、丁寧に掃除しないと美観を損なう可能性があります。また、一般的な四角い土台に比べて、猫足は石材の加工に手間がかかるため、価格が高くなる傾向があります。
お墓を選ぶ際には、見た目だけでなく、管理のしやすさや費用なども考慮することが大切です。猫足のお墓は、その美しいデザインと機能性から多くの人に選ばれてきましたが、定期的な掃除の手間や費用といった点も理解した上で、故人にふさわしいお墓を選びましょう。