修二会

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仏教

お水取り:歴史と意味を知る

お水取りは、奈良の東大寺二月堂で毎年3月1日から14日にかけて行われる仏教の行事です。正式には修二会(しゅにえ)と呼ばれ、1200年以上もの歴史を持つ伝統行事として知られています。二月堂のご本尊である十一面観音様に対し、僧侶たちが過去の行いを悔い改める悔過を行い、国家の安泰や五穀豊穣、そして人々の幸せを祈願する厳粛な法要です。 この行事は、春が来る少し前のまだ寒い時期に行われ、その様子は厳しくも神秘的です。特に夜に行われる「おたいまつ」は、二月堂の舞台から大きな松明が落とされることで有名です。この松明から降り注ぐ火の粉を浴びると、無病息災のご利益があるとされ、多くの参拝者が集まります。燃え盛る松明の炎は、冬の闇を明るく照らし、訪れる人々の心に春の訪れを予感させます。 お水取りの期間中、僧侶たちは厳しい修行に励みます。堂内では一般の人々が入ることのできない空間で、昼夜を問わず様々な儀式が行われています。特に「お香水」と呼ばれる香水を汲み上げる儀式は、この行事のハイライトとも言える重要な儀式です。二月堂の井戸から汲み上げられるこの水は、観音様に供えられるだけでなく、人々に無病息災のご利益をもたらすと信じられています。 毎年、春の訪れを告げる行事として、多くの人々がこのお水取りに足を運びます。古くから続く伝統に触れ、厳かな雰囲気の中で祈りを捧げることで、人々は新たな気持ちで春を迎えることができるのです。お水取りは、単なる行事ではなく、日本の文化と精神性を象徴する大切な行事と言えるでしょう。