
七具足:故人を偲ぶ大切な道具
七具足とは、仏様やご先祖様にお供え物をするため、仏壇の前に置く七つの仏具のことです。ご家庭にある仏壇にも、たいていこの七具足が備え付けられています。具体的には、香を焚くための香炉、ろうそくを立てる燭台、花を生ける花立の三つに、水を入れる水瓶、ご飯をお供えする仏飯器、お茶をお供えする茶湯器、そして線香を焚くための香炉を加えた七つです。三具足に四つの仏具を加えたものとして七具足と呼ばれています。
一つ一つの仏具には、それぞれ意味があります。香炉から立ち上る良い香りは、仏様の心を和ませ、安らぎを与えるとされています。燭台の灯りは、迷える霊が進むべき道を照らす灯明です。花立に飾る色とりどりの花々は、仏様を慰め、その場を明るく華やかに彩ります。水瓶に注がれた水は、故人の喉の渇きを癒すといわれています。仏飯器にお供えするご飯は、故人の空腹を満たし、茶湯器のお茶は安らぎを与えます。そして、香炉で焚く線香の香りは、故人の霊を呼び寄せると考えられています。
これら七つの仏具をすべて揃えてお供えすることで、より丁寧な弔いができると考えられています。また、七具足は故人の霊を慰めるだけでなく、残された家族の心にも安らぎを与えます。例えば、故人が好きだった花を生けたり、好んで飲んでいたお茶をお供えしたりすることで、故人を偲び、その存在をより身近に感じることができます。七具足を通して故人と心を通わせることで、悲しみを和らげ、前向きに生きていく力となるでしょう。
七具足は、仏壇に置くものだけでなく、葬儀の際にも用いられます。葬儀では、祭壇に七具足を飾り、故人の冥福を祈ります。故人の霊前で、心を込めてお供え物をし、祈りを捧げることは、残された家族にとって大切な弔いの儀式です。七具足は、故人への想いを伝えるための大切な役割を担っています。