
葬儀における三方:その役割と意味
三方とは、神道や仏教の葬式、法事などで使われる、お供え物を置くための台のことです。祭壇の中央に置かれ、神様や仏様へのお供え物を載せる神聖な役割を担います。その形は、白木の四角いお盆のようなものを土台として、前と左右に三日月のような形をした飾りがついた独特なものです。この飾りを刳形(くりかた)と言い、三方に独特の風格を与えています。
三方という名前の由来は、この前と左右の三方向に刳形があることから来ています。東西南北の四方向から真ん中を除いた形とも言われ、中央を空ける意味には様々な説があります。一つは、真ん中は神様や仏様が臨まれる場所として空けておくという考え方です。また、故人の魂が真ん中を通ってあの世へ旅立つための道だと考えられているという説もあります。
三方に載せるお供え物は、儀式の種類や地域によって様々ですが、米、塩、水、果物、菓子、お酒など、神様や仏様、そして故人に喜んでいただけるようなものが選ばれます。三方に供物を丁寧に並べることで、神聖な雰囲気をより一層高め、儀式に厳粛さを加える効果があります。また、三方は神様や仏様、故人、そして参列者を繋ぐ大切な役割を担っているとも言われています。葬式や法事において、三方は無くてはならない大切な道具の一つであり、古くからの伝統と信仰が凝縮された存在と言えるでしょう。三方の存在は、私たちに目に見えない世界との繋がりを意識させ、敬虔な気持ちへと導いてくれるのです。