
キリスト教葬儀:天国への旅立ち
キリスト教において、死は終わりではなく、新たな始まりの時とされています。この世での命を終えることは、魂が肉体という殻を脱ぎ捨て、永遠の生命へと旅立つことを意味します。地上での人生は、いわば神様からの借り物である肉体という衣をまとって過ごす、いわば仮の宿のようなものです。真の故郷は天にあり、死とは、その天へと帰る、喜びに満ちた帰郷なのです。死は悲しい別れではなく、神様との再会を祝う、厳かで喜びに満ちた門出と考えられています。
この死生観は、キリスト教の中心となる教えである、キリストの復活に深く根ざしています。キリストは十字架にかけられて亡くなりましたが、三日目に復活したと伝えられています。キリストの復活は、信じる者すべてにも永遠の命が約束されていることの証であり、死は終わりではなく、新たな始まりであることを示すものです。
そのため、キリスト教式の葬儀は、故人が地上での試練を終え、天国へと旅立つことを喜び、祝福する儀式となります。参列者は、深い悲しみの中にも、故人の魂が神様の愛に包まれ、永遠の安息を得たことを信じ、共に祈り、賛美歌を歌います。花で飾られた祭壇、厳かな聖歌、そして祈りの言葉。これらはすべて、故人の霊を慰め、天国への旅立ちを祝福するために行われます。葬儀は、故人の冥福を祈るとともに、残された人々が永遠の命への希望を新たにする機会でもあるのです。そこには、悲しみだけでなく、神様の愛と永遠の生命への確かな希望が満ち溢れています。