
宇宙葬:空への最後の旅
宇宙葬とは、故人の遺骨の一部を宇宙空間へと送り届ける葬送の方法です。近年、従来のお墓や散骨とは異なるこの壮大な弔いの形が、静かに注目を集めています。特に、宇宙への憧れを強く抱いていた故人にとっては、この上なくふさわしい最期の旅立ちと言えるでしょう。
宇宙葬には、大きく分けて二つの方法があります。一つは散骨型宇宙葬と呼ばれるもので、これは少量の遺灰を詰めた風船を成層圏まで上昇させます。風船は高度約30キロメートルに達すると、気圧差によって破裂し、故人の遺灰を大気の上層に散布します。まるで星屑のように広がる遺灰は、やがて地球へと降り注ぎ、自然の一部へと還っていきます。この方法は比較的費用を抑えることができ、手軽に宇宙葬を実現できることから選ばれることが多いようです。
もう一つはロケットを用いた宇宙葬です。これは専用のロケットに遺灰の一部を搭載し、宇宙空間へと打ち上げます。ロケットは地球の周回軌道に乗る場合もあれば、そのまま地球の引力を離れて深宇宙を目指す場合もあります。地球周回軌道に乗った場合は、最終的に大気圏に再突入し、流れ星のように燃え尽きます。深宇宙へと旅立つ場合は、人工衛星のように地球を回り続けたり、遥か彼方の宇宙空間を漂ったりすることになります。この方法は散骨型に比べて費用は高額になりますが、故人の遺灰を文字通り宇宙へと送り出すことができるため、より深い意味を持つ葬送と言えるでしょう。いずれの方法も、故人の遺志を尊重し、生前の夢を叶えるための手段として、静かに選ばれつつあります。