お釈迦様

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仏教

甘茶を味わう仏生会:お釈迦様の誕生をお祝い

四月八日は、仏教を開かれたお釈迦様の誕生日を祝う『仏生会(ぶっしょうえ)』の日です。別名『灌仏会(かんぶつえ)』、『花祭り(はなまつり)』とも呼ばれ、寺院では様々な行事が行われます。 お釈迦様は、今から約二千六百年ほど前、紀元前六世紀ごろのインドでお生まれになりました。北インド、ヒマラヤ山脈の麓に位置する釈迦国の王子として誕生したお釈迦様は、裕福な環境の中で何不自由なく育ちました。しかし、生老病死という人間の避けられない苦しみに心を痛め、二十九歳で出家。六年間の厳しい修行の末、三十五歳で悟りを開き、仏陀(目覚めた人)となりました。その後、八十歳で亡くなるまで、四十五年間人々に教えを説き続けました。 仏生会では、花で飾られた小さなお堂の中に、釈迦像が安置されます。このお堂は『花御堂(はなみどう)』と呼ばれ、誕生したばかりのお釈迦様を表しています。参拝者は柄杓で甘茶を釈迦像にかけて祝います。これは、お釈迦様が生まれた時、天から九頭の竜が現れ、甘露の雨を降らせて産湯としたという言い伝えに由来します。甘茶をかけることで、お釈迦様の誕生を祝い、その功徳にあやかり、無病息災を願うのです。 仏生会は、お釈迦様の生誕を祝うとともに、その教えに触れ、感謝を捧げる大切な機会です。命の尊さを改めて認識し、平和への祈りを新たにする日と言えるでしょう。
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お釈迦様と葬送儀礼

今から約二千五百年前、古代インドの北部に位置する釈迦族という部族の国に、一人の王子が誕生しました。その王子こそが、後に仏陀、つまりお釈迦様と呼ばれるようになる人物です。裕福な王族の家に生まれ、何不自由ない暮らしを送っていましたが、城の外の現実の世界を目の当たりにしたことで、人生の苦しみについて深く考えるようになりました。老いや病、そして死という、誰もが避けることのできない現実を目の当たりにし、人々がなぜ苦しむのか、どうすればこの苦しみから逃れられるのかという問いへの答えを求め、二十九歳という若さで出家を決意しました。そして、厳しい修行の道へと進みます。 六年間、様々な修行を積みましたが、真の答えを見つけることはできませんでした。やがて、苦行の末に衰弱した体は限界を迎えました。そこで、苦行だけでは悟りは得られないと気づき、スジャータという少女から乳粥の施しを受け、体力を回復させました。そして、菩提樹の下で静かに座禅を組み、瞑想を続けました。すると、ついに心の迷いを断ち切り、宇宙の真理を悟り、仏陀(目覚めた人)となったのです。この時、お釈迦様は三十二歳でした。 悟りを開いたお釈迦様は、人々に自らが悟った真理を説き始めました。それは、この世の全ては移り変わり、常に変化し続けるという無常の教えであり、苦しみは、物事への執着から生まれるという教えでした。そして、苦しみから解放されるためには、正しい行いを心がけ、心を静める修行をすることが大切だと説きました。お釈迦様の教えは人々の心に深く響き、多くの弟子たちが集まりました。こうして仏教が生まれ、人々に広まっていったのです。お釈迦様は八十歳でその生涯を閉じましたが、その教えは弟子たちによって受け継がれ、現在まで私たちに伝えられています。お釈迦様の生涯と教えは、現代社会を生きる私たちにとっても、人生の苦しみを乗り越え、より良く生きるための指針となるでしょう。