
閉眼供養:お墓の引越しと魂の送り出し
閉眼供養とは、お墓の引っ越し(改葬)やお墓の建て替えなどで、ご遺骨を今あるお墓から出す際に行う儀式です。お墓に宿る故人の魂を丁寧にお送り出し、新たな安らぎの場所へ導くための大切な作法です。魂抜き、抜魂式、性根抜きといった別名でも呼ばれています。
日本では古くから、お墓は故人の魂が宿る場所と考えられてきました。そのため、ご遺骨を移す際には、まず魂をお墓からきちんと送り出す必要があるとされています。この閉眼供養という儀式を行うことで、故人の魂を敬い、感謝の気持ちを表すことができるのです。単なる作業としてではなく、故人とのお別れを改めて実感し、冥福を祈る大切な機会となるでしょう。
閉眼供養は、僧侶に読経してもらい、焼香を行うのが一般的です。お供え物としては、故人が好きだったものや、季節の果物、お菓子、お花などを用意します。また、故人が愛用していた品々をお供えする場合もあります。僧侶への謝礼やお布施が必要となる場合もありますので、事前に相談しておくことが大切です。閉眼供養は、必ずしも行わなければならないものではありませんが、故人の魂を敬い、大切に思う気持ちを表すためにも、執り行うことをお勧めします。特に、お墓を解体する場合や、長年お墓を守ってきた家系が途絶える場合には、閉眼供養を行うことで、故人の魂を安らかに鎮めることができると考えられています。
閉眼供養を終えた後は、ご遺骨を新しいお墓、もしくは納骨堂へと移します。そして、改めて魂を入れるための儀式「開眼供養」を行います。閉眼供養と開眼供養を行うことで、故人の魂は無事に新しい場所へと移り住むことができるとされています。供養の方法は地域や宗派によって異なる場合があるので、菩提寺の住職や石材店に相談し、適切な方法で行うようにしましょう。