
茶湯器:葬儀における役割と意味
茶湯器とは、亡くなった方にお供えする閼伽(あか)を入れるための器です。閼伽とは、もともとは仏様に香りの良い水をお供えするという意味を持つ言葉で、インドの言葉に由来しています。日本では、お茶やお水、お湯などを閼伽として用いるようになり、茶湯器にそれらを入れて故人の霊前に供えます。
お葬式や法事では、香を焚く香炉、ろうそくを立てる燭台とともに、茶湯器は三具足と呼ばれる大切な仏具の一つです。この三具足は、仏様の知恵、慈悲、定を表すとされています。茶湯器は、香炉、燭台の向かって左側に置かれるのが一般的です。
茶湯器の形は、主に陶器や磁器でできた小さな茶碗のような形をしています。普段使いの湯呑み茶碗のような取っ手はなく、高台と呼ばれる台座が付いているものもあります。大きさは様々ですが、手のひらに収まるくらいの大きさのものが多いです。他の仏具との大きさの釣り合いを考えて選ぶと良いでしょう。
材質は、陶器や磁器以外にも、金属やガラスで作られたものもあります。宗派や地域、個人の好みによって様々な材質のものが選ばれています。色や模様も様々で、白い無地の物から、金や銀で飾られたもの、蓮の花などの模様が描かれたものなど、たくさんの種類があります。亡くなった方にお供えするものなので、落ち着いた雰囲気のものが選ばれることが多いですが、故人の生前の好きだったものを選ぶのも良いでしょう。
茶湯器を選ぶ際には、故人の霊前で故人を偲び、冥福を祈るという大切な意味を持つことを忘れずに、心を込めて選びましょう。