お盆:先祖を敬う心と感謝の気持ち
お葬式について質問
先生、『盂蘭盆会』って、お葬式と何か関係があるんですか?終活とも関係あるのでしょうか?
お葬式の研究家
いい質問だね。『盂蘭盆会』、つまりお盆は、亡くなった人の霊があの世から帰ってきて、家族と過ごす期間だと考えられているんだよ。だから、お葬式とは直接の関係はないけれど、亡くなった人を偲ぶという意味ではつながりがあると言えるね。終活というよりは、残された家族にとって大切な行事と言えるかな。
お葬式について質問
なるほど。お葬式の後にする行事というわけではないんですね。でも、亡くなった人を偲ぶ行事なら、終活で準備しておくことはありますか?
お葬式の研究家
そうだね。自分が亡くなった後、家族がお盆をどう過ごしてほしいか、例えばお供え物やお墓参りなど、希望を伝えておくのは良い終活と言えるかもしれないね。でも、お盆は本来、家族が故人を偲ぶ行事だから、あまり細かく指示するよりも、家族に任せるという考え方もあるよ。
盂蘭盆会とは。
お葬式やお墓の準備といった、人生の終わりに向けた準備にまつわる言葉に『盂蘭盆会』というものがあります。盂蘭盆会は、一般的にはお盆と呼ばれている仏教の行事です。昔は、月の動きをもとにした暦の7月13日から16日の4日間で行われていました。しかし、今では太陽の動きをもとにした今の暦に合わせて行ったり、ひと月遅れの8月15日の前後に行ったり、今でも月の動きをもとにした暦のまま行ったりと、様々になっています。
お盆の由来
お盆とは、サンスクリット語のウランバナ(逆さ吊り)を語源とする盂蘭盆会を略した言葉です。この言葉は、苦しみを逆さまにして吊るし、苦しみから解放するという意味を持ちます。お盆の由来は、お釈迦様の弟子のひとり、目連尊者のお話に由来します。神通力を持つ目連尊者は、亡くなった自分の母親が餓鬼道と呼ばれる苦しみの世界に落ち、ひどく苦しんでいるのを見て心を痛めました。どうすれば母親を救えるのか、目連尊者は師であるお釈迦様に教えを乞いました。お釈迦様は、夏の修行期間である夏安居(げあんご)を終えた僧侶たちへ、食べ物や飲み物、衣服など様々なものを施しなさいと目連尊者に教え諭しました。多くの修行僧は、人々から施しを受けながら厳しい修行に励んでいました。修行を終えた僧侶たちに施しをすることで、その功徳(善い行いによって得られる良い結果)は、母親の苦しみを和らげ、餓鬼道から救い出す力となるでしょうとお釈迦様は言いました。目連尊者は、お釈迦様の教えの通りに僧侶たちへ真心を込めて施しを行いました。すると、その功徳によって、母親は餓鬼道から解放され、苦しみから救われました。この目連尊者の孝行と、お釈迦様の慈悲深い教えによって、お盆は先祖の霊を供養し、感謝の気持ちを表す行事として広く行われるようになりました。元々は旧暦の7月15日を中心とした4日間でお盆の行事を行っていましたが、明治時代に入って新暦が採用されたことで、現在では地域によって時期や期間が異なっています。8月15日を中心に行う地域や、今でも旧暦の通りに行う地域など様々です。お盆の期間は、ご先祖様の霊が再びこの世に戻ってきて、家族と過ごす大切な時間だと考えられています。そのため、家族が集まり、お墓参りをしてご先祖様に報告と感謝を伝えたり、仏壇に季節の食べ物や飲み物、花をお供えしたり、迎え火や送り火などの伝統的な儀式を行います。現代社会は忙しく、家族が集まる機会も少なくなっていますが、お盆は家族の絆を深め、先祖を敬う心、感謝の心を育む大切な機会となっています。
項目 | 内容 |
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意味 | サンスクリット語のウランバナ(逆さ吊り)を語源とする盂蘭盆会を略した言葉。苦しみを逆さまにして吊るし、苦しみから解放するという意味。 |
由来 | お釈迦様の弟子、目連尊者が亡くなった母親を餓鬼道から救うため、お釈迦様の教えに従い、夏安居を終えた僧侶たちへ施しを行ったこと。 |
目的 | 先祖の霊を供養し、感謝の気持ちを表す。 |
時期 | 元々は旧暦7月15日を中心とした4日間。現在は新暦8月15日を中心に行う地域や、旧暦の通りに行う地域など様々。 |
内容 | ご先祖様の霊が再びこの世に戻ってきて、家族と過ごす大切な時間。家族が集まり、お墓参り、仏壇へのお供え、迎え火や送り火などの伝統的な儀式を行う。 |
現代的意義 | 家族の絆を深め、先祖を敬う心、感謝の心を育む大切な機会。 |
お盆の行事
お盆とは、年に一度、ご先祖様の霊がこの世に帰ってくるとされる期間のことです。この時期に行われる様々な行事は、ご先祖様を敬い、感謝の思いを伝えるための大切な伝統として受け継がれてきました。
お盆の行事の中心となるのは、精霊棚の設置です。精霊棚は、ご先祖様の霊を迎えるために、家の中に設けられる特別な棚です。この棚には、故人の霊が乗って来るとされる、ナスやキュウリで作った精霊馬や、生前に好んで食べていたものなどをお供えします。また、迎え火と送り火も重要な行事です。十三日の夕方には、ご先祖様の霊が迷わずに家まで帰って来られるようにと、家の前で迎え火を焚きます。そして十六日の夕方には、無事にあの世へと戻れるようにと、送り火を焚いて見送ります。
お墓参りも、お盆の大切な行事の一つです。墓石を丁寧に掃除し、花や線香、お供え物を供え、手を合わせてご先祖様に感謝の気持ちを伝えます。お墓参りは、故人を偲び、家族のつながりを再確認する場でもあります。
地域によっては、盆踊りや灯籠流しといった伝統行事も行われます。盆踊りは、ご先祖様の霊を慰めるために行われる地域独自の踊りです。賑やかな音楽と踊りで、地域の人々が一体となり、故人を偲びます。灯籠流しは、川や海に灯籠を流し、ご先祖様の霊を送り出す行事です。柔らかな灯りが水面に揺れる様子は、幻想的で美しい光景です。
近年は、家族形態の変化や生活様式の変化に伴い、伝統的なお盆の行事を簡略化したり、行わなくなったりする家庭も増えています。しかし、お盆は、家族のつながりを確かめ、先祖を敬う心を育む貴重な機会です。それぞれの家庭の事情に合わせて、無理のない範囲で伝統を守り、次の世代へと伝えていくことが大切です。
行事 | 説明 |
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精霊棚の設置 | ご先祖様の霊を迎えるための特別な棚。精霊馬や故人の好物などをお供えする。 |
迎え火と送り火 | 十三日の夕方にはご先祖様の霊が迷わずに帰って来られるように迎え火を焚き、十六日の夕方には無事にあの世へと戻れるように送り火を焚く。 |
お墓参り | 墓石を掃除し、花や線香、お供え物を供え、手を合わせて感謝の気持ちを伝える。故人を偲び、家族のつながりを再確認する場。 |
盆踊り | ご先祖様の霊を慰めるために行われる地域独自の踊り。地域の人々が一体となり、故人を偲ぶ。 |
灯籠流し | 川や海に灯籠を流し、ご先祖様の霊を送り出す行事。 |
お盆と現代社会
過ぎゆく時代の流れは、私たちの暮らしだけでなく、古くから伝わるお盆の習わしも変えつつあります。町は大きくなり、家族は小さくなり、地方を離れて都会で暮らす人が増えたことで、昔ながらのお盆の行事を続けるのが難しくなった地域もあります。さらに、人々の暮らし方も様々になり、お盆の時期に里帰りができない人や、信仰の違いから、お盆の行事に関わらない人も増えています。
それでも、お盆は家族や親戚が集まり、亡くなった方を思い出し、互いの結びつきを強くする大切な機会として、多くの人に大切にされています。お盆休みを利用して、久しぶりに家族や親戚と会い、共に食事をしたり、思い出を語り合ったりする人も多いでしょう。お墓参りを通して、ご先祖様を感じ、感謝の思いを新たにする機会にもなります。
現代において、お盆は信仰の行事であるだけでなく、家族や地域の繋がりを確かめ合い、心の安らぎを得るための大切な機会として、その意味合いが見直されています。たとえば、お盆の時期に地域で集まり、盆踊りや灯篭流しなどの行事を一緒に行うことで、地域社会の活性化につながることもあります。また、お盆に家族が集まることで、普段は離れて暮らす家族間のコミュニケーションを深める機会にもなります。
これからもお盆の伝統を守りつつ、今の時代に合った形でお盆の文化を伝えていくことが大切です。例えば、インターネットを活用して、遠方に住む家族とオンラインで交流したり、お盆の行事の様子を動画で共有したりするなど、新しい形での繋がりも生まれています。また、地域によっては、伝統的な行事と現代的なイベントを組み合わせた新しいお盆の催しが行われるようになり、若い世代にもお盆への関心を高める工夫がされています。このように、時代に合わせて変化しながらも、お盆が持つ大切な意味合いを忘れずに、未来へと繋いでいくことが重要です。
テーマ | 内容 |
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お盆の変化 |
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現代のお盆の意味 |
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未来へのお盆の継承 |
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