年賀欠礼の送り方とマナー

年賀欠礼の送り方とマナー

年賀欠礼の習慣

日本では、近しい人が亡くなった際に、喪に服す期間を設ける慣習があります。これを一般的に喪中といい、故人の霊を弔い、悲しみに暮れる時間を大切にします。この期間は、お祝い事や華やかな行事を控えるのが習わしです。喪中はがきは、新年を祝う年賀状のやり取りを控えることを伝えるためのものです。

喪中はがきを出す時期は、一般的に11月初旬から12月上旬にかけてです。年賀状の準備が始まる前に届くようにするのが適切です。喪中はがきには、故人が亡くなったこと、そして新年を祝う年賀状を控えさせていただく旨を記します。誰の喪に服しているかも明記するのが大切です。さらに、故人との関係性や亡くなった時期なども加えると、より丁寧な印象になります。

喪中はがきを出す範囲は、普段年賀状をやり取りする相手が基本です。親しい友人や親戚、仕事関係者など、日頃から繋がりのある方々へ送るのが一般的です。ただし、故人と面識のない相手や、一年に一度だけ年賀状で近況を報告し合うような間柄の方には、無理に送る必要はありません。喪中はがきを受け取った側も、新年を祝う言葉は避け、寒中見舞いなどで返事を送るのがマナーです。

喪中はがきを送ることは、相手に配慮を求めるだけでなく、故人の死を伝える役割も果たします。古くから続く日本の文化であり、相手への思いやりと敬意を示す大切な手段です。自分たちの悲しみを伝えるとともに、相手にもこちらの事情を理解してもらうことで、良好な人間関係を保つことにも繋がります。喪中はがきは、単なるお知らせではなく、人と人との繋がりを大切にする日本の心遣いが表れたものと言えるでしょう。

誰に出すべきか

喪中はがきは、誰に送るべきか、判断に迷う方も多いでしょう。基本的には、年賀状のやり取りをしている方々へ送るのが一般的です。

日ごろから便りを交わしている親族や知人、会社の同僚など、親しい関係にある方々に送ることで、新しい年の挨拶を控える理由をきちんと伝えることができます。受け取った側は、こちらの事情を汲み取って、年賀状の送付を控えてくれます。これは、深い悲しみの中にいる間、配慮を示すという、我が国の文化的な習慣の一つです。

故人の交友関係によっては、故人と親しかった方々へ送る場合もあります。生前、故人と特に親しい間柄だった方や、故人がお世話になった方など、状況に応じて判断することが大切です。

誰に送るべきか迷う場合は、故人とどのような関係だったのか、また、普段からどの程度のお付き合いがあったのかなどをよく考えて判断するのが良いでしょう。例えば、年賀状のやり取りがない場合でも、故人の葬儀に参列してくれた方や、香典をいただいた方には、喪中はがきを送ることで感謝の気持ちを伝えることができます。

また、一年以上前に亡くなった方の場合は、喪中はがきではなく、寒中見舞いとして近況を伝えるのが適切です。寒中見舞いは、一年で最も寒い時期に相手の健康を気遣うとともに、自分の近況を伝える挨拶状です。喪中はがきとは異なり、おめでたい出来事などについても書くことができます。

誰に送るべきか、状況に応じて適切に判断することで、相手に配慮を示し、良好な関係を築くことができるでしょう。

いつ頃送るべきか

喪中はがきは、故人の死を悼み、年賀状の代わりに送るものです。その年の年末年始の挨拶を控えるお知らせとして、年賀状の準備が始まる前に届くように送るのが望ましいです。一般的には、11月中旬から12月上旬にかけて送ることが適切とされています。

12月20日頃までには相手のもとへ届くようにするのが理想です。なぜなら、12月25日を過ぎると、相手がすでに年賀状の投函を済ませている可能性があるからです。喪中はがきが年賀状の到着後に届いてしまうと、せっかく年賀状を書いていただいた相手に、申し訳ない気持ちを抱かせてしまうことになりかねません。また、相手が年賀状の書き直しなどの手間をとらせてしまう可能性もあります。相手の負担を軽くするためにも、早めの準備と発送を心がけましょう。

喪中はがきを作成する際には、故人の氏名、没年月日、続柄など、正確な情報を記載することが大切です。そのため、宛名書きも含め、時間に余裕を持って準備を進めることをおすすめします。慌てて準備をすると、誤字脱字などのミスが生じる可能性も高まります。落ち着いて丁寧に作成することで、故人を偲び、相手に失礼のない喪中はがきを作成できるでしょう。また、近年は印刷サービスを利用する人も多くいます。印刷を依頼する場合も、余裕を持った発注が大切です。

なお、四十九日忌が終わっていない場合でも、喪中はがきを送ることは可能です。その場合は、喪中はがきに「四十九日忌が済み次第、改めてお知らせいたします」といった一文を添えると、より丁寧な印象になります。

記載する内容

喪中はがきは、近しい人が亡くなったことをお知らせし、新年のお祝いを控えることを伝える大切な便りです。どのような内容を記載すればいいのか、順を追って見ていきましょう。

まず書き出しは、故人が亡くなったことへの深い悲しみと、それを受け入れる今の心境を丁寧に記します。

次に、故人の氏名をフルネームで記載します。敬称は不要です。続柄は、自分との関係がはっきりと分かるように、「父」「母」「祖父」「祖母」「兄」「姉」「弟」「妹」など具体的に書きましょう。もし故人が配偶者である場合は「夫」もしくは「妻」と記します。

亡くなった日付も正確に西暦で記載し、年齢を記す場合は「享年○○歳」のように表現します。

そして、喪に服しているため、年始の挨拶を控える旨を伝えます。「年頭の挨拶は控えさせていただきます」といった表現が一般的です。

喪中はがきを出す時期は、一般的に11月初旬から12月半ばまでとされています。あまり早く出しすぎると、相手に年賀状の準備を始める前に届いてしまい、逆に遅すぎると年賀状が届いてしまう可能性があります。年末ギリギリに不幸があった場合は、松の内（1月7日）が明けてから、寒中見舞いとして出すのが適切です。

文章は簡潔に、そして丁寧な言葉遣いを心がけましょう。相手を気遣う気持ちも忘れずに、心を込めて書きましょう。悲しみの中での作業となりますが、故人を偲びつつ、丁寧に書き進めることが大切です。

最後に、故人と親しかった間柄の方には、生前の感謝の気持ちや故人の思い出などを一言添えると、より気持ちが伝わるでしょう。ただし、長文にならないよう注意が必要です。

印刷と手書き

近年ではパソコンや印刷機の発達により、喪中はがきを印刷で作成する方が増えてきました。簡便で効率的である一方、故人を偲び、ご遺族の心情を伝える大切な挨拶状であることを忘れてはなりません。印刷する際には、落ち着いた色合いのデザインを選び、華美な装飾は避けましょう。故人の霊前で、静かに手を合わせ祈るような、慎み深い心持ちを大切にしたいものです。

一方、手書きの喪中はがきは、時間と手間をかけることで、より真摯な気持ちが伝わると言われています。一字一字に心を込めて書くことで、故人を偲び、感謝の思いを新たにする良い機会となるでしょう。万年筆や筆ペンを用い、黒色のインクで丁寧に楷書体で書きましょう。墨の濃さは、普段の手紙と同じで構いません。薄墨は弔事には適さないとされていますので、注意が必要です。もし誤字脱字をしてしまった場合は、修正液や修正テープで訂正するのではなく、新しいはがきに書き直すのが望ましいとされています。

印刷であれ手書きであれ、大切なのは故人を悼む気持ちと、ご遺族の心痛を慮る気持ち、そして喪中はがきを受け取る相手への配慮です。形式にとらわれ過ぎず、真心を込めて作成することが最も大切です。はがきを受け取った方が、ご遺族の温かい気持ちを感じ取れるような、丁寧な一枚を心掛けましょう。

寒中見舞い

一年で一番寒い時期に送る挨拶状である寒中見舞いは、喪中のため年始の挨拶ができなかった際に、松の内（多くの場合、一月七日）が明けてから立春（二月四日頃）までの間に送ります。

寒中見舞いは、年賀状の代わりとなるものです。まず、故人が亡くなったこと、そしてお悔やみをいただいたことへのお礼を述べます。その上で、新年を迎えた喜びとともに、相手とその家族の健康を気遣う言葉を添えます。例えば、「昨年は温かいお言葉をいただき、誠にありがとうございました。おかげさまで新年を迎えることができました。寒さ厳しい折、皆様にはくれぐれもご自愛ください」といった具合です。

寒中見舞いは、年賀状を送ることができなかったことへのお詫びの気持ちと、相手を気遣う気持ちを表す大切な役割を担っています。そのため、丁寧な言葉遣いを心がけ、感謝の気持ちを伝えることが重要です。便箋に書く場合は、黒か濃い青色のインクを用い、楷書体などの読みやすい文字で丁寧に書きましょう。印刷する場合は、派手な装飾は避け、シンプルで落ち着いたデザインを選びましょう。

寒中見舞いを受け取った側は、年賀状が届かなかった理由を理解することができます。そして、改めて新年の挨拶を交わすことで、良好な人間関係を築き、維持していくことに繋がります。寒中見舞いは、日本の古くからの習慣の一つであり、相手への思いやりを伝える大切な手段です。

寒中見舞いを送ることで、喪中の悲しみを乗り越え、新しい一年を前向きに始めることができます。また、相手との繋がりを改めて確認し、温かい気持ちを共有することができます。