
授戒:仏教徒の生き方
授戒とは、仏教の教えにおいて、仏弟子となるための大切な儀式であり、戒律を授かることを言います。戒律とは、仏の教えに従って、心身を清らかに保ち、正しい行いをするための約束事です。この戒律を守ることで、迷いの世界から解き放たれ、悟りへと近づくことができるとされています。
授戒の儀式では、まず、仏の前に座し、三宝(仏・法・僧)に帰依することを誓います。三宝とは、仏教の拠り所となる三つの宝です。仏とは、悟りを開いたお釈迦様、法とは、お釈迦様の教え、僧とは、仏教の教えを伝える僧侶たちのことを指します。そして、五戒と呼ばれる基本的な戒律を授かります。五戒とは、生き物を殺さない、与えられていないものを盗まない、不倫をしない、嘘をつかない、お酒に溺れない、という五つの大切な約束事です。これらは、人として当然守るべき道徳とも言えます。
授戒を受けるということは、単に儀式に参加するだけでなく、仏教徒として生きていく決意を表明することでもあります。日常生活の中で、五戒を意識し、実践することで、自らを律し、心を磨いていくのです。授戒は、新たな人生の始まりを意味し、仏教徒としての自覚と責任を芽生えさせる大切な機会となります。また、授戒を受けることで、仏教共同体の一員となり、共に教えを学び、支え合う仲間を得ることもできます。
授戒は、形式的な儀式ではなく、仏教の教えを深く心に刻み、実践していくための大切な第一歩と言えるでしょう。仏教徒は、授戒を通して、より良い生き方を目指し、悟りの境地へと進んでいくのです。